2011年、ニンテンドー3DSが発売されて最初の年でもありました。
ニンテンドー3DSは大きな期待を集めて発売されたものの、その後の販売は任天堂の想定を下回り、2011年8月には本体価格を2万5,000円から1万5,000円へ引き下げるなど、厳しい船出となりました。
そうしたなか、任天堂は2011年9月13日に「ニンテンドー3DSカンファレンス」を開催しました。このカンファレンスは任天堂の国内イベントとして初めてインターネットで生中継され、平日の昼間にもかかわらず多くの人が視聴し、大きな反響を呼びました。
任天堂はこの手応えを受け、約1か月後の2011年10月21日に初回の「Nintendo Direct」を配信します。初回は午後8時からの録画中継として公開されました。
任天堂は当時の決算説明会において、ニンテンドー3DSカンファレンスからNintendo Direct誕生までの経緯を詳しく説明しています。
それ以降、Nintendo Directは任天堂のゲームを中心とする最新情報を、ユーザーへ「直接」届ける番組として定着していきました。
Nintendo Directとは?
Nintendo Directは先述した経緯から生まれました。
その非常に大きなきっかけについて、当時の任天堂の代表取締役社長だった岩田聡氏は、2012年10月25日に開催された第2四半期決算説明会の質疑応答で、次のように答えています。
まず、「Nintendo Direct」を始めた非常に大きなきっかけは、「私たちが何かゲームの情報を発表したとしても、その情報を私たちがネットに上げるよりも早く、何らかの形でゆがんだ形で拡散してしまう」ということが当時非常に大きな問題になっていたことでした。それは、「私たちのメッセージが正しくお客様にお伝えできない」ということであり、「ゲーム内容などのお客様が求めていらっしゃる情報は、お客様に直接お伝えして受け取っていただくほうがよいのではないか」ということをちょうど1年前の決算説明会で申し上げたと記憶しています。
出典:任天堂「2012年10月25日 第2四半期決算説明会 質疑応答」
この回答にもある通り、情報がゆがんだ形で伝わることを避け、任天堂自身が正確な情報を映像で届けようとする誠実な姿勢に、当時の私は強く惹かれました。
更新を楽しみにしていた「社長が訊く」と同じように、Nintendo Directも私が任天堂製品をますます好きになるきっかけになりました。
当時はAppleの製品発表会が毎回インターネットで生中継される時代ではなく、ライブ配信が行われる場合も、公式の視聴環境はMacやiOS端末が中心でした。Windows 10とMicrosoft Edgeが公式の視聴環境に加わったのは2015年のことです。
任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のE3プレゼンテーションも、日本時間では深夜帯になることが多かったため、午後8時から配信された初回のNintendo Direct」、とても見やすい番組でした。
なお、Nintendo Directの配信時刻は時期や番組によって異なり、正午、午後8時、午後10時、午後11時、翌朝7時など、さまざまな時間に設定されてきました。
なかでもE3会期に合わせたNintendo Directやデジタルイベントは、海外で開催されるE3の日程に合わせるため、日本時間の深夜に配信されることが多くなっていました。そのため、E3会期中のNintendo Directをリアルタイムで見たことは、ほとんどなかった気がします。
そもそも、そのE3自体も2023年に終了してしまいましたしね。
発表されたゲームタイトル
Nintendo Directでは、これまで非常に多くのゲームタイトルや新情報が発表されてきました。
すべてを列挙すると膨大な数になるため、ここでは特に印象に残っている代表的なタイトルを抜粋して紹介します。
大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U
『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』は、ニンテンドー3DSとWii U向けに展開されたシリーズ作品です。
最新作の開発計画自体はE3 2011で発表されており、2012年6月22日のNintendo Directでは、バンダイナムコゲームスおよびバンダイナムコスタジオとの共同開発体制が明らかにされました。
その後、2013年6月の「Nintendo Direct@E3 2013」で正式タイトルとゲーム映像が初めて公開され、『どうぶつの森』シリーズの「むらびと」と、『ロックマン』シリーズの「ロックマン」の参戦が発表されました。
2014年4月には、本作だけを扱う「大乱闘スマッシュブラザーズ Direct 2014.4.9」も配信され、同作のディレクターを務める桜井政博氏が自ら進行と解説を担当しました。
この形式は、Nintendo Switchで発売された次作『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(スマブラSP)にも引き継がれました。
Nintendo Directや各種イベントで公開された新ファイターの参戦ムービーも含め、発表のたびに大きく盛り上がったことを今でも覚えています。
あつまれ どうぶつの森
現在の『あつまれ どうぶつの森』につながるNintendo Switch向け最新作は、2018年9月14日の「Nintendo Direct 2018.9.14」で初めて発表されました。
当時はまだ正式タイトルが決定しておらず、『どうぶつの森』(仮称)として2019年に発売予定と案内されていました。その後、2019年6月の「Nintendo Direct | E3 2019」で正式タイトルが『あつまれ どうぶつの森』に決定し、発売日も2020年3月20日と発表されています。
2018年の発表では、通常のNintendo Directの最後に『スマブラSP』に「しずえ」が参戦するムービーが流れ、その直後にNintendo Switch向け『どうぶつの森』最新作が発表されるという流れでした。
『スマブラSP』の発売を約3か月後に控えたタイミングでもあり、2つの発表を連続させた非常に効果的な演出だったと思います。当時のTwitter(現在のX)でも大きく盛り上がったことを、今でも覚えています。
最後に
Nintendo Directが生まれた理由や、番組内で発表された代表的なタイトルについて解説してきましたが、いかがでしたか。
Nintendo Directは任天堂独自の発表文化を築き、現在ではゲーム業界を代表する情報発信番組の一つになったと考えています。
私にとっては、多くの人と驚きや感動、楽しさを分かち合い、またゲームを遊びたくなるような魅力を持った、唯一無二の番組です。
今回Nintendo Directについて解説したのは、2011年の初回から15年近く、ほぼ毎回リアルタイムで見続けてきた私だからこそ伝えられる、その影響力と魅力を記事にしたいと思ったからです。
常に新しいことに取り組む任天堂が、これからNintendo Directで何を発表してくれるのか。今後も見届けていきたいですね。
現在、Nintendo Directは任天堂公式サイトや任天堂公式YouTubeチャンネルで配信され、配信終了後には本編のアーカイブも公開されています。
また、スマートフォン向けアプリ『Nintendo Today!』では、Nintendo Directの放送予定や、配信後の関連情報などを確認できます。