NVIDIAは2026年9月1日、AIを活用した新たなニューラルレンダリング技術「DLSS 5」の詳細を発表しました。
DLSS 5は9月3日21時(米国時間)から提供が開始され、最初の対応タイトルとしてVisual Conceptsが開発する『NBA 2K27』に導入されます。日本時間では9月4日13時ごろの提供開始となる見込みです。
既存のDLSSは、低い解像度から高解像度の映像を生成するSuper Resolutionや、AIを利用して新しいフレームを生成するFrame Generationなど、主に描画性能と画質を両立させるためのAIを活用したレンダリング技術として進化してきました。
一方、DLSS 5では「3D-Guided Neural Rendering」と呼ばれる新技術を導入。単純に解像度やフレーム数を増やすだけではなく、ゲーム内のライティングやマテリアル表現そのものをAIによって強化するという、これまでとは異なる方向へDLSSを拡張しています。
DLSS 5とは?
DLSS 5は、NVIDIAが開発したリアルタイム向けのニューラルレンダリング技術です。
最大の特徴となるのが、新たに導入された「3D-Guided Neural Rendering」です。
従来のDLSSでは、ゲームエンジンによって生成された映像や各種データをもとに、高解像度の映像を再構成したり、新しいフレームを生成したりする方法が中心でした。
DLSS 5ではさらに一歩進み、ゲームエンジンがレンダリングしたフレームを土台として、AIが物体やマテリアル、光源などのシーンを解析。リアルなライティングや素材表現を最終的な映像へ追加します。
例えば、肌の内部で光が拡散する表現や、髪・植物を光が透過する表現、物体同士が接する部分の影、グローバルイルミネーションなど、従来のリアルタイムレンダリングでは計算負荷の問題から表現が難しかったグラフィック要素を強化できます。
「3D-Guided Neural Rendering」について
DLSS 5は、テキストから自由に画像を作り出す一般的な生成AIとは仕組みが異なります。
ゲームエンジンが描画したフレームを基準として、カラー情報やモーションベクトルなどのデータをAIモデルへ入力します。
そのため、AIがゲーム画面を自由に作り替えるのではなく、開発者が制作したジオメトリやテクスチャ、ライティングなどを維持しながら、最終的な見た目を強化する仕組みになっています。
ゲームではカメラやキャラクターが常に動くため、フレームごとにAIの生成結果が大きく変化するとちらつきなどの違和感が発生してしまいます。
DLSS 5ではゲームエンジンから取得したモーションベクトルなどを利用し、1フレームずつリアルタイムで処理することで、時間方向の安定性を確保しています。
また、開発者側から構造や色調、適用する領域などをキャリブレーションできる仕組みも用意されており、AI任せではなく、ゲーム本来のアートディレクションを維持できることも大きな特徴です。
RTX 50シリーズ全GPUに対応
DLSS 5は、GeForce RTX 50シリーズのデスクトップGPUおよびLaptop GPUに対応します。
2026年3月にDLSS 5が発表された段階では、デモの動作に2基のGeForce RTX 5090が使用されていました。
しかしNVIDIAはその後、AIモデルやレンダリングパイプラインを最適化。約6か月でパフォーマンスを約5倍向上させ、1基のGPUで最大4K解像度のリアルタイム処理を可能にしたとしています。
これによってRTX 5090だけではなく、RTX 50シリーズ全体でDLSS 5を利用できるようになりました。
また、NVIDIAが提供するクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」もDLSS 5に対応しますが、リリース時点では Ultimateプラン加入者のみが利用可能です。
最初の対応タイトルは『NBA 2K27』
DLSS 5は2026年9月3日21時(米国時間)から提供され、最初の対応タイトルは『NBA 2K27』となります。
『NBA 2K27』では、3D-Guided Neural Renderingによって選手の肌やユニフォーム、ライティングなどの表現を強化します。
NVIDIAは今後数週間から数か月にかけて、DLSS 5を統合するタイトルについて追加発表を行う予定です。
開発者向けには、既存のDLSSでも利用されている「NVIDIA Streamline」に加え、Unreal Engine 5向けプラグインを通じた統合にも対応します。
DLSS 5は、これまでのDLSSが担ってきた高解像度化やフレーム生成からさらに踏み込み、ゲーム内のライティングやマテリアル表現そのものをAIで強化する技術となります。
今後は『NBA 2K27』以外にも対応タイトルが順次発表される予定で、実際のゲームでどこまで映像表現が変化するのかにも注目です。