Moonshot AIは、新たな大規模言語モデル「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。
同モデルは、前世代の「Kimi K3」をベースに強化学習を大幅に改善したモデルで、コーディングや3Dモデルの生成、財務分析、AIエージェントによる自律的なタスク処理などの性能が向上しています。
また、通常版より2〜3倍高速に動作する「Kimi K3.1 Pro Highspeed」も同時に発表されました。
Kimi K3.1 Proの主な仕様
Kimi K3.1 Proは、必要な処理に応じて一部のパラメータを活性化するMoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用しています。
| 項目 | 仕様 |
| 開発元 | Moonshot AI |
| モデル名 | Kimi K3.1 Pro |
| 総パラメータ数 | 2.8兆 |
| アクティブパラメータ数 | 1,040億 |
| コンテキスト長 | 最大100万トークン |
| アーキテクチャ | MoE |
| マルチモーダル | 対応 |
| 高速版 | Kimi K3.1 Pro Highspeed |
| モデルウェイト | 2026年11月4日までに公開予定 |
最大100万トークンのコンテキスト長に対応しており、大規模なソースコードや長文の資料を扱う用途にも適しています。
GPT-6 Astraを上回るコーディング性能
Moonshot AIが公開したベンチマーク結果によると、Kimi K3.1 Proはコーディングエージェントの性能を測定する「Terminal-Bench 4.0」で65.7%を記録しました。
| AIモデル | Terminal-Bench 4.0 |
| Claude Opus 5.5 | 66.4% |
| Kimi K3.1 Pro | 65.7% |
| GPT-6 Astra | 58.2% |
Kimi K3.1 ProはGPT-6 Astraを7.5ポイント上回り、Claude Opus 5.5にも迫る結果となっています。
また、Moonshot AI独自の長時間コーディング評価「Kimi Code Bench 3.0 Long-horizon」では61.2%を記録し、前世代Kimi K3の55.95%から性能が向上しました。
ただし、これらの数値は特定のベンチマーク環境における結果であり、すべての開発作業で同様の性能差が生じるわけではありません。
3Dモデル生成や財務分析にも対応
Kimi K3.1 Proでは、プログラミング以外の分野でも機能が強化されています。
特に3Dモデルの生成では、テキストによる指示や参考画像などから、物体の形状や空間的な関係を理解し、3Dアセットを作成できます。
BlenderやCADソフトウェア向けのスクリプト生成・実行にも対応しており、形状の編集やマテリアルの調整などを行うことができます。
また、Unity、Unreal Engine、Godotなどのゲームエンジンを利用した開発にも活用できるとしています。
財務分析分野では、複数の資料を照合する能力や数値推論の精度が改善されています。
Moonshot AIの社内評価「Kimi Hallu Bench Hard」では、個々の主張に含まれるハルシネーションの発生率が、前世代の23.4%から8.3%に低下しました。
ただし、この数値は誤りが発生しやすい課題を集めた評価に基づくもので、日常的な利用における誤回答率を示すものではありません。
高速版「Kimi K3.1 Pro Highspeed」も登場
通常版に加え、応答速度を重視した「Kimi K3.1 Pro Highspeed」も提供されています。
Moonshot AIによると、Highspeed版は通常版の約2〜3倍の速度で動作します。
これにより、AIとの対話やコーディング支援など、応答速度が重要な用途での利便性向上が期待されます。
API料金は前世代から約33%値下げ
Kimi K3.1 ProのAPI料金は、前世代のKimi K3より引き下げられています。
以下は100万トークン当たりの料金です。
| モデル | 入力 | 出力 |
| Kimi K3 | $3 | $15 |
| Kimi K3.1 Pro | $2 | $10 |
| Kimi K3.1 Pro Highspeed | $4 | $20 |
通常版のAPI料金は、入力・出力ともに前世代から約33%値下げされています。
一方、Highspeed版は通常版の2倍の料金に設定されており、利用者は処理速度とコストに応じてモデルを選択できます。
なお、実際の利用料金は入力・出力トークン数などによって変動します。
モデルウェイトは11月4日までに公開予定
Moonshot AIは、Kimi K3.1 Proのモデルウェイトを2026年11月4日までに公開する予定です。
モデルウェイトとは、AIが学習によって獲得した数値パラメータのことです。これを公開する方式は「オープンウェイト」と呼ばれ、開発者がモデルを独自の環境で実行・調整できるようになります。
Kimi.aiやKimi Codeなどで利用可能
Kimi K3.1 ProとKimi K3.1 Pro Highspeedは、発表時点から以下のサービスで提供されています。
- Kimi.aiおよびモバイルアプリ
- Kimi Work
- Kimi Code
- Kimi API
Kimi Codeでは、/modelコマンドからモデルを選択できます。
APIでは、kimi-k3.1-proおよびkimi-k3.1-pro-highspeedのモデルIDが用意されています。
参考資料