xAIは、AIコーディング機能「Grok Build」がSuperGrokおよびX Premiumの全プランで利用可能になったと発表しました。
これまで一部の上位プランを中心に提供されていたWeb・モバイル向けのBuild機能が、より幅広いユーザーへ開放された形です。
Grokとは?
Grok Buildについてお話しする前に、まずはGrokについて簡単に解説します。
Grokは、xAIが開発するAIアシスタントです。ChatGPTやGoogle Bard(現Gemini)など生成AIサービスが急速に普及する中、2023年11月に発表されました。
xAIが独自に開発するGrokシリーズの大規模言語モデル(LLM)を基盤としており、質問への回答や文章・画像の生成、情報検索、プログラミングなど、さまざまな用途で利用できます。
Grokの大きな特徴の一つが、X(旧Twitter)との強力な連携です。X上の公開ポストをリアルタイムで検索して回答に活用できるほか、X上でもGrokを利用できます。
現在はXだけでなく、grok.comやiOS・Android向けのGrokアプリからも利用可能です。
一方で、Grokを巡っては安全性が問題となったこともあります。
2025年末から2026年1月にかけて、Grokの画像生成・編集機能を悪用し、実在する人物を対象とした本人の同意のない性的なディープフェイク画像が生成・共有される問題が発生しました。
この問題を受け、XとxAIはGrokの画像生成・編集機能に対する安全対策を強化しています。
高性能な生成AIを提供する一方で、悪用をどのように防ぐかという課題が改めて浮き彫りになった事例といえるでしょう。
Grok Buildについて
Grok Buildは、xAIが提供するAIコーディングエージェントです。
コマンドライン上からGrokに指示を出すことで、コードの生成や修正、既存プロジェクトの解析、バグ修正、リファクタリング、テストの実行など、ソフトウェア開発に関するさまざまな作業をAIに任せることができます。
単純にコードを提案するだけでなく、プロジェクト内の複数のファイルを確認しながら必要な変更を行ったり、コマンドを実行して動作を確認したりできるのが特徴です。
そのため、Anthropicが提供するClaude CodeやOpenAIが提供するCodexなどと同じく、開発環境の中で実際に作業を進めるタイプのAIツールに分類できます。
また、作業内容を事前に整理してから実行する「Plan Mode」や、複数の処理を分担して進める「Subagents」、MCPやAGENTS.mdなど、AIエージェントを活用した開発を支援する仕組みにも対応しています。
Grokを普段のチャットだけでなく、より本格的なソフトウェア開発にも活用したいユーザー向けのツールといえるでしょう。
とうとうSuperGrok・X Premiumの全プランで利用可能に
Grok Buildのコマンドライン版は、2026年5月25日にEarly Betaとして公開されました。
公開当初からSuperGrokおよびX Premium Plusのユーザー向けに提供されており、その後7月15日には、Grok Buildを動かす中核部分やコマンドライン上の操作画面(TUI)などがオープンソース化されています。
一方、7月28日にはGrok上からWebサイトやアプリ、ゲームなどを直接作成できる「Build Mode」が登場しました。
こちらは当初、月額300ドルの最上位プラン「SuperGrok Heavy」ユーザー限定のEarly Betaとして、Web版のgrok.comとiOS・Android向けGrokアプリで提供されていました。
そして8月19日、xAIはWeb・iOS・Androidで利用できるGrok Buildを、SuperGrokおよびX Premiumの全プランへ開放したと発表しました。
アイデアをプロンプトとして入力するだけで、Webサイトやアプリ、ゲーム、ダッシュボードなどをGrokとのチャット上で構築できます。
作成したアプリは専用の「grok.me」URLを使って公開できるほか、独自ドメインの設定やGitHubへのエクスポートにも対応しています。
GitHubへ書き出したプロジェクトをコマンドライン版Grok Buildで開き、そのまま開発を続けることも可能です。
これにより、まずWebやスマートフォンから手軽にアプリを作り、必要に応じてGitHubやコマンドライン環境へ移行して本格的に開発するといった使い方もできるようになっています。
ブラウザ以外での使い方
Grok Buildは、ブラウザだけでなくiOS・Android向けGrokアプリや、PCのコマンドラインからも利用できます。
コマンドライン版では、開発中のプロジェクトを直接読み込み、ファイルの確認・編集やコマンドの実行、テストなどをGrokに任せることができます。
Web・モバイル版で作成したプロジェクトをGitHubへエクスポートし、その続きをコマンドライン版で開発するといった使い方も可能です。
ブラウザやスマートフォンから手軽に制作を始められるWeb・モバイル版に対し、コマンドライン版は既存のプロジェクトを扱ったり、より複雑な開発作業を行ったりする用途に向いています。
CursorなどからGrokを利用することも可能
Grokのコーディングモデルは、Cursorなどの外部開発ツールから利用することもできます。
たとえばCursorでは、Grok 4.6などの対応モデルを選択し、コードの生成や修正、既存プロジェクトの解析などに利用できます。
Grok 4.6は2026年8月12日に公開され、Grok BuildとCursorの双方で利用可能となっています。
Cursor上でGrokを利用する場合、ファイルの読み込みや編集、コマンドの実行など、プロジェクトを実際に操作するための機能はCursor側のAIエージェント環境によって提供されます。
つまり、Grokがコードを考える「頭脳」の役割を担い、ファイルやプロジェクトを操作するための開発環境をCursor側が提供する仕組みです。
一方のGrok Buildは、AIモデルに加えて、ファイルの操作やコマンドの実行などを行うAIエージェントの仕組みもxAI側が一体となって提供しています。
そのため、同じGrok系のモデルを利用していても、CursorでGrokを使う場合は「Cursorの開発環境でGrokを動かす」、Grok Buildの場合は「xAIが提供するGrok Buildの開発環境でGrokを動かす」という違いがあります。
まとめ
Grok Buildは、コマンドライン上で利用するAIコーディングエージェントとして登場し、その後Webやスマートフォンから手軽にアプリを作成できる機能へと利用範囲を広げてきました。
今回、SuperGrokおよびX Premiumの全プランへ開放されたことで、これまで上位プランを利用していなかったユーザーでもGrokを使ったアプリ開発を試しやすくなっています。
Web・モバイル版でアイデアを形にし、GitHubへエクスポートしてコマンドライン版で本格的な開発を続けられる点もGrok Buildの特徴です。
Claude CodeやCodex、CursorなどAIを活用した開発ツールが増える中、Grok Buildが今後どこまで利用を広げていくのか注目です。