iPad Air(M4)に搭載されているM4チップですが、現行のiPadで搭載されているチップでは世代的には1世代前です。
今回はM4チップについて解説すると同時に、その性能のポテンシャルを検証していきたいと思います。
M4チップとは?

M4チップは2024年5月にiPad Proとともに発表された、第2世代の3nmプロセスを採用するAppleシリコンです。
その後、iMac、MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniにも採用されています。M4チップには複数のバリエーションが存在し、搭載するデバイスによってCPUとGPUのコア構成が異なります。
バリエーションは以下の通りです。
| CPU | 高性能コア | 高効率コア | GPU | 搭載モデル |
|---|---|---|---|---|
| 8コア | 4 | 4 | 8コア | iMac |
| 8コア | 3 | 5 | 9コア | iPad Air(M4) |
| 9コア | 3 | 6 | 10コア | iPad Pro(256GB / 512GB) |
| 10コア | 4 | 6 | 8コア | MacBook Air |
| 10コア | 4 | 6 | 10コア | MacBook Air / Mac mini / iMac / MacBook Pro(14インチ) / iPad Pro(1TB / 2TB) |
M4ではCPUアーキテクチャが改良され、フル構成では最大10コアCPUを搭載。メモリ帯域幅もM3の100GB/sから120GB/sに向上しました。16コアNeural Engineも毎秒最大38兆回の演算処理に対応するなど、AI・機械学習処理性能が強化されています。
GPUはM3チップで導入された次世代GPUアーキテクチャをベースに改良されており、Dynamic Cachingやハードウェアアクセラレーテッド・メッシュシェーディング、レイトレーシングにも対応しています。
性能を検証する
さて、ここまでM4チップの性能を解説してきましたが、論より証拠。実際に検証していきたいと思います。
Geekbench 6(CPUベンチマーク)
iPad Air(M4)のCPU性能を確認するため、Geekbench 6を使って3回ベンチマークを実行しました。
Geekbenchでは、数字が大きいほどCPU性能が高いことを示します。
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
|---|---|---|---|---|
| シングルコア | 3,718 | 3,733 | 3,752 | 3,734 |
| マルチコア | 13,377 | 13,480 | 13,511 | 13,456 |
3回の平均値は、シングルコアが3,734、マルチコアが13,456でした。
シングルコアは、アプリの起動やWebブラウジングなど、1つの処理を素早くこなす性能の目安です。
一方のマルチコアは、動画編集や画像処理など、複数のCPUコアを同時に使う重い処理の性能を示します。
今回の測定では、3回とも概ねスコアを記録しました。
シングルコアは3,718~3,752、マルチコアは13,377~13,511に収まっており、測定ごとの性能差は約1%程度です。
そのため、iPad Air(M4)はベンチマークを続けて実行しても大きく性能が落ちることなく、安定して高いCPU性能を発揮していることが分かります。
8コア版M4でも高い性能
iPad Air(M4)に搭載されているM4チップは、3つの高性能コアと5つの高効率コアを組み合わせた8コアCPUです。
MacBook AirやMac miniなどに搭載される10コア版M4よりCPUコア数は少ないものの、Geekbench 6ではシングルコア3,700台、マルチコア13,000台半ばを記録しました。
普段使いはもちろん、画像編集や動画編集、ゲームといった負荷の高い用途でも、十分に高い性能を期待できる結果です。
Geekbench 6でGPU性能を検証
iPad Air(M4)のGPU性能を確認するため、Geekbench 6.7.0のMetal Benchmarkを3回実行しました。
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均 | |
|---|---|---|---|---|
| Metal Score | 53,025 | 53,326 | 53,207 | 53,186 |
3回測定した平均スコアは53,186でした。
GeekbenchのMetal Scoreは、Metal APIを利用してGPUの演算性能を測定する指標です。画像処理や映像処理、機械学習などのワークロードが含まれ、数字が大きいほどGPUのCompute性能が高いことを示します。
今回の結果では、1回目から3回目までの差は301ポイントにとどまり、最大でも約0.57%の差しかありませんでした。連続でベンチマークを実行しても大きくスコアが落ちておらず、iPad Air(M4)はGPU性能も安定して高いことが分かります。
iPad Air(M4)はフル構成のM4ではなく、9コアGPUを搭載するモデルです。それでもGeekbench 6では53,000台前半のスコアを記録しており、画像編集や動画編集、ゲームなどでも十分に高いGPU性能を期待できる結果となりました。
3DMark(Steel Nomad Light)
iPad Air(M4)のGPU性能を確認するため、3DMarkのSteel Nomad Lightを実行しました。
今回は、実際の端末上での描画性能を見る通常版と、画面解像度などの影響を受けにくく画面解像度のスケーリングや垂直同期などの影響を受けにくく、デバイス間・チップ間のGPU性能を比較しやすいUnlimited版の両方で測定してみました。
| テスト | Overall score | Average frame rate |
|---|---|---|
| Steel Nomad Light | 3,215 | 23.8 FPS |
| Steel Nomad Light Unlimited | 2,793 | 20.7 FPS |
通常版のSteel Nomad Lightでは3,215ポイント、平均23.8FPSを記録しました。
一方、GPUそのものの性能比較に向いているSteel Nomad Light Unlimitedでは、2,793ポイント、平均20.7FPSとなりました。
Steel Nomad Lightは比較的負荷の高い3Dグラフィックステストです。iPad Air(M4)は9コアGPU構成ながら、通常版・Unlimited版ともに平均20FPSを超える結果となりました。
他のデバイスとGPU性能を比較する場合は、画面解像度などの違いによる影響を受けにくいUnlimited版のスコアを基準にすると比較しやすくなります。
3DMark(Solar Bay)
レイトレーシング性能を確認するため、3DMarkの「Solar Bay」を実行しました。
| テスト | Overall score | Average frame rate |
|---|---|---|
| Solar Bay | 12,367 | 47.0 FPS |
| Solar Bay Unlimited | 13,766 | 52.3 FPS |
通常版では12,367ポイント、平均47.0FPSを記録。画面解像度のスケーリングや垂直同期などの影響を受けにくく、デバイス間・チップ間のGPU性能を比較しやすいUnlimited版では、13,766ポイント、平均52.3FPSとなりました。
Solar Bayではテストが進むにつれてレイトレーシングの負荷が高くなり、通常版ではSection 1の59.1FPSから、最も負荷の高いSection 3では33.5FPSまで低下しました。
一方、Unlimited版ではSection 3でも40.3FPSを記録しており、iPad Air(M4)の9コアGPUでもハードウェアレイトレーシングを利用した高負荷な描画処理をこなせることが分かります。
まとめ
GeekBench 6と3DMarkという定番ベンチマークをテストしてみましたが、いかがでしたか。
10コアGPU構成に次ぐ9コアGPUを搭載しているだけあり、かなり性能を発揮できていると思ったのが所感です。
10コアGPU構成のM4や、M5を搭載したiPad Proには及ばないものの、iPad Air(M4)が十分なグラフィック性能を備えていることは証明されたような気がします。
次回、#3ではiPad Air(M4)が搭載しているNeural EngineのAI性能を検証してみたいと思います。