Switch 2やPS5の脱獄1がX(旧Twitter)で話題になっていますが、こういうニュースを見ると胸が痛くなります。ゲーム機の脱獄や改変行為って、今に始まったことではなく、PSPのCFW2やWiiのトワプリハック3時代から散々話題になっています。
今回は、ゲーム機の脱獄をおすすめしない理由を、メーカーの修理規定と実際の摘発事例から解説します。
なお、当記事はゲーム機の改造、脱獄等を助長する記事ではないことについてはご理解いただけると幸いです。
改造すると、メーカーの修理を断られるおそれがある
任天堂のNintendo Switch 2「修理サービス規程/保証規程」では、任天堂以外による分解・改造・修理の痕跡があるものは、交換や修理を断る場合の対象とされています。ソフトウェアの改造も含まれます。

「修理サービス規程」「保証規程」のご案内です。
これは、利用者が「修理に出してはいけない」という意味ではありません。メーカーが修理を受け付けない場合があるという規定で、単に無償保証がなくなるだけとは限らない点に注意が必要です。
SIEの「アフターサービス規定/保証規定」でも、不当な修理・分解・改造の痕跡がある場合や、システムソフトウェアの使用許諾契約に違反した場合は、修理・交換を断る場合の対象です。
なお、メーカーの修理受付条件と、法律上の違法性は別の問題です。また、メーカーが案内する範囲のお手入れや部品の取り付けと、非公式な分解・改造を一緒に扱うべきではありません。
分解動画が公開されていても、自分の本体で同じことをして問題がないとは限りません。動画投稿者が将来修理に出すかどうかも、外部からは判断できません。
改造品の販売や改造代行には摘発事例も
「無償の非公式ソフトを入れれば、直ちに商標法違反」と一律には言えません。個人での改変、改造品の販売、改造代行、海賊版の入手では、問題となる行為や法律が異なります。海賊版と知りながらゲームソフトをダウンロードする行為には、著作権侵害の問題があります(文化庁の解説)。刑事罰の適用には別途要件があります。
令和3年1月1日施行 侵害コンテンツのダウンロード違法化について
ACCSの発表によると、2026年3月19日、京都府南署サイバー対策係は、改造したNintendo Switchを販売譲渡した男性4人を商標法違反の疑いで京都地検に送致しました。この事例で問題となったのは、改造した本体の販売譲渡であり、書類送検6は有罪の確定を意味しません。
2026年3月19日 京都府南署サイバー対策係は、2026

【読売新聞】 任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」を改造して販売したとして、…
また、2024年4月のACCS発表では、Switchの技術的制限手段4を回避するセーブデータ改造代行サービスを提供したとして、不正競争防止法違反の容疑で男性が逮捕されています。こうした販売や代行を安易に真似しないでください。
2024年4月10日 高知県警察(サイバー犯罪対策課、高知
PS5で動作するローカルのAIの誘惑に乗らないで
テクノエッジは2026年10月23日、脱獄したPS5でQwen系のLLM5を動かす非公式アプリ「PS5LM Plus」を紹介しています。通常のPS5向けに公式提供されるAIアプリとは異なるため、一般ユーザーが購入してそのまま利用できるものと受け取らないよう注意が必要です。
技術的な話題として興味を持つことと、自分のゲーム機を改造することは別です。AIの利用が目的なら、まずはPCなどで正式に利用できる環境を検討することをおすすめします。報道の概要は、以下のテクノエッジの記事で確認できます。

「生成AIウィークリー」(第164回)は、Metaが発表した米国製で過去最高性能…
最後に
ゲーム機の改造をすべて一括して「犯罪」と断定することはできません。ただし、メーカーの修理を受けられなくなるおそれや、海賊版の入手、改造品の販売、改造代行などに伴う法的リスクは軽視できません。
この記事は改造や脱獄を助長するためではなく、リスクへの注意を呼びかけるために書いています。AIを使う場合も、権利者やサービスの規約を尊重し、許可された環境で活用したいところです。
なお、GameBusiness.jpの10月25日付報道では、「プチコン4 SmileBASIC」が10月23日時点で購入できなくなったとされています。ただし、同報道では配信停止の理由は販売元に確認中です。改造報道との因果関係や、配信停止によって今後の悪用が完全に防げるとまでは断定できません。

直近ではPHP脆弱性へのサーバー対応も、一部サービス再開直後の出来事
- 脱獄:本記事では、ゲーム機に設けられたソフトウェアの実行制限などを、非公式な方法で回避する行為を指します。個々の行為の違法性は、その内容によって異なります。 ↩︎
- CFW:Custom Firmware(カスタムファームウェア)の略。機器の動作を制御するシステムソフトウェアを非公式に改変したものです。参考:PPSSPP開発者向け資料(https://dev.ppsspp.org/docs/reference/psp-custom-firmware/)。 ↩︎
- トワプリハック:Twilight Hackの通称。Wii用「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」のセーブデータ処理の脆弱性を利用し、非公式プログラムの実行を可能にした歴史的な事例です。参考:WiiBrew(https://www.wiibrew.org/wiki/Twilight_Hack)。 ↩︎
- 書類送検:捜査機関が事件の書類や証拠などを検察官に送ることを指す一般的な呼び方です。逮捕、起訴、有罪判決と同じ意味ではありません。 ↩︎
- 技術的制限手段:不正競争防止法上、コンテンツの視聴・実行・記録などを技術的に制限する仕組みを指す用語です。著作権法の「技術的保護手段」とは区別されます。参考:経済産業省の解説(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/unfaircompetition_textbook.pdf)。 ↩︎
- LLM:Large Language Model(大規模言語モデル)の略。大量のテキストなどから学習し、文章の生成や質問への応答などを行うAIモデルです。「ローカルLLM」は、利用者の端末などで動作させるLLMを指します。 ↩︎