Google DeepMindは2026年10月15日、同社のAIモデル「Gemini 4 Argon」を使用した4体のAIエージェントが、「Minecraft」のエンダードラゴン討伐に成功したと発表しました。
今回の実験では、人間が攻略に介入することなく、AI同士が役割分担や情報共有を行いながらゲームを進行。27時間14分でエンダードラゴンの討伐を達成しています。
4体のGemini 4 ArgonがMinecraftを自律的に攻略
Google DeepMindが公開した論文「A team of Gemini 4 Argon agents beats Minecraft」によると、実験には4体のGemini 4 Argonエージェントが参加しました。
使用されたのはMinecraft Java Edition (JE)1.20.4で、ゲームモードはサバイバル、難易度はイージーに設定されています。
AIに与えられた目標は「エンダードラゴンを倒す」というもので、具体的な攻略手順や役割分担は指定されていません。
各エージェントは、オープンソースのBot操作ライブラリ「Mineflayer」を使用。自らJavaScriptプログラムを作成し、移動や採掘、アイテムの作成、戦闘などを実行しました。
なお、AIがゲーム画面を直接認識して操作したわけではなく、ゲーム内の位置情報や周囲の状況などをプログラム経由で取得しています。
攻略までに2,783本のプログラムを作成、605回死亡
今回の実験では、最初のプログラムを実行してからエンダードラゴンを討伐するまでに27時間14分を要しました。
その間、AIエージェントは合計2,783本のJavaScriptプログラムを作成・実行。ゲーム内チャットでは229件のメッセージを交わし、死亡回数は合計605回に達しました。
| 項目 | 実験結果 |
| AIモデル | Gemini 4 Argon |
| エージェント数 | 4体 |
| 攻略時間 | 27時間14分 |
| 作成したプログラム | 2,783本 |
| JavaScriptコード | 63,313行 |
| チャットメッセージ | 229件 |
| 死亡回数 | 605回 |
| 結果 | エンダードラゴン討伐成功 |
攻略中には、AIが自主的に資源収集やネザー探索などの役割を分担する場面が確認されています。
さらに、エンド要塞を発見するためにエンダーアイの飛行方向を測定し、三角測量を用いて位置を推定するなど、プログラムによる分析能力も活用しました。
エンダードラゴン討伐には約14時間、土ブロックが攻略の鍵に
実験開始から13時間33分でエンドに到達したものの、エンダードラゴンの討伐には苦戦しました。
エンドでの戦闘ではドラゴンによって69回死亡し、攻略方法を繰り返し修正することになります。
特に問題となったのは、ドラゴンの体力を回復させる10個のエンドクリスタルでした。
実験開始から約21時間後、AIは土ブロックを積み上げてクリスタルに接近し、破壊する方法を考案しました。
その後、4体が協力してすべてのクリスタルを破壊。最後のクリスタルを破壊してから約39分後、エンダードラゴンの討伐に成功しています。
GPT-6 Astraは141時間で攻略失敗、Gemini 4 Argonとの違いは?
当サイトでは2026年9月18日、AIモデルの性能評価を手がけるVals AIによる「GPT-6 Astra」のMinecraftプレイ実験を紹介しました。
この実験では、GPT-6 Astraが141時間にわたってMinecraftをプレイ。ネザー要塞の探索や半自動ブレイズファームの構築、エンダーパールの収集などに成功しました。
しかし、重要なアイテムを保管していたチェストがクリーパーの爆発で破壊され、その後の攻略が大きく後退。最終的にエンダードラゴンの討伐には至りませんでした。
今回のGemini 4 Argonとの比較を表に表すと以下の通りです。
| 比較項目 | GPT-6 Astra | Gemini 4 Argon |
| 実験主体 | Vals AI | Google DeepMind |
| AIエージェント | 単独 | 4体 |
| 操作方法 | 画面認識・コンピューター操作 | JavaScript・Mineflayer |
| プレイ時間 | 141時間 | 27時間14分 |
| 到達段階 | ネザー探索 | エンダードラゴン討伐 |
| 最終結果 | 未達成 | 成功 |
GPT-6 Astraがゲーム画面の認識を通じて操作するのに対し、Gemini 4 Argonはゲーム内の情報を直接取得できるプログラムを使用しています。
諸条件等が大きく異なる為、Gemini 4 ArgonかとGPT-6 Astra、どちらが優秀かどうかを判断するのは難しいでしょう。

GPT-6 Astraについて、興味深い話題が出ています。 OpenAIのAIモ…
Minecraft攻略にかかったAPI料金は約16万円
Google DeepMindの論文では、今回の実験に要したAPI利用料金についても試算されています。
エンダードラゴンの討伐までに使用された入力トークン数は約13億5,000万、出力トークン数は約1,600万に達しました。
Gemini 4 Argonの公開API料金に基づく推定費用は、導入時の特別料金で約$520、通常料金では約$1,040です。
通常料金を日本円に換算すると、約16万5,000円に相当します。
また、観測用エージェントや討伐後の活動を含む実験全体では、通常料金換算で約$1,620に達したとしています。
なお、これらは公開API料金に基づく推定値であり、実際のモデル運用コストを示すものではありません。
AIエージェントの長時間タスク処理能力を実証
今回の研究は、複数のAIエージェントが長時間にわたって協力し、複雑な目標を達成できる可能性を示すものとなりました。
特に、役割分担や情報共有、失敗原因の分析、攻略方法の修正をAI自身が実施していた点は注目に値します。
一方で、実験中には多数の死亡やプログラムのエラーが発生しており、安定性や処理効率には課題も残されています。
また、今回の実験は4体のAIエージェントがプログラムを介してMinecraftを操作したもので、人間と同じ条件でプレイしたわけではありません。
それでも、AIが長時間の目標を維持しながら自律的に行動し、仲間と協力して結果を出したことは、今後のソフトウェア開発や業務自動化に向けた重要な研究成果といえそうです。
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